近年、IT業界では「リモートワークができるかどうか」が企業の魅力や働きやすさの指標のように語られることが増えました。画面越しにコードを書き、チャットツールで指示を送る。一見するとスマートで効率的な働き方に思えます。
しかし、実際に現場でシステムを稼働させ、チームを率いてきた人ほど、ある種の違和感を抱くことがあるのではないでしょうか。
- 「これ、テキストじゃどうしてもニュアンスが伝わらないな」
- 「画面共有しながら話すより、ホワイトボードを前に数分話したほうが早かったのに」
そんなもどかしさを感じた経験は、誰にでもあるはずです。
01 / FACE TO FACE
「伝わらない」を減らす、対面の情報量
ITの仕事は、パソコンと向き合うだけのデジタルな作業に見えるかもしれません。しかし、その本質には「人の意図をカタチにする」という、丁寧なコミュニケーションが求められます。
対面での会話には、言葉だけでなく、表情、声のトーン、視線、その場の空気感といった非言語情報が含まれています。チャットで「分かりました」と返ってきても、本当に納得しているのか、不安を抱えながらの返事なのかは、顔を合わせていれば察しやすいものです。
現場にいることで、行き違いやトラブルの芽に早く気づき、細やかな軌道修正につなげられることがあります。
02 / REMOTE AS A TOOL
リモートは「目的」ではなく「手段」
もちろん、リモートワークそのものを否定するわけではありません。どうしても外せない家庭の事情があるときや、国内・海外の遠隔地にいるメンバーとチームを組むときなど、物理的な距離や制約を越える必要がある場面では、リモートワークはとても強力な選択肢です。
03 / THE RIGHT CONTEXT
思考を停止させず、状況に応じて考える
「全社一律で100%出社」も、「考えることをやめた完全フルリモート」も、どちらも極端と言わざるを得ません。
現場に集まると効果的な状況
- 要件定義やプロジェクトの立ち上げ期
- 新メンバーのオンボーディング
- 密度高く意思疎通を図りたい時期
リモートを活用しやすい状況
- 仕様が固まり、集中してコードを書き進めるフェーズ
- 遠隔地のメンバーと連携する必要がある状況
状況やフェーズ、チームの習熟度に応じて「適宜考える」ことこそが、プロフェッショナルな働き方ではないでしょうか。
IN CLOSING
大切なのは、働く場所より生み出す価値
「リモートができるから良い会社・良い案件」という風潮に流される必要はありません。私はこれからも、現場で生み出される確実な価値をベースに据えながら、状況に応じて最適な選択をしていきたいと考えています。